熱性けいれんをおこした時の対処法について教えて下さい。

熱性けいれんの対応について以下の流れでお願いします。まずは、「慌てず冷静に!

 <熱性けいれん時の対応について>

①あわてず行動する。

②衣服をゆるめ、頸まわりはゆるくする。

③東部は体幹より少し低くし、仰臥位で頭は横に向ける。吐物、分泌物が眼や鼻孔にあれば取り除く。

 歯を食いしばっていてもものを口の中に入れない。

④体温測定を行い、発作の長さや発作の様子(左右さ、眼球偏位)の観察をする。可能ならスマートフォン等で撮影しておく。

⑤通常の状態となるまでは観察を続ける

<医療機関を受診すべき時>

⑥発作が10分以上続くとき:5分以上続く場合を薬物療法開始を考慮すべきとしている(熱性けいれん重積状態の実地用定義;「熱性けいれん診療ガイドライン2015」)

⑦短い間隔であっても発作が繰り返し起こり、意識障害があるとき。

⑧身体の一部の発作、または全身性でも部分優位性があるとき。

⑨1歳未満の初回発作のとき。

⑩発熱、けいれんの他に意識障害が続く、麻痺などの症状があるとき。

作成年月日:2018.10.23

【倉敷店 医薬品情報管理室】


 

Q最近、味を感じません。どうしたらいいですか?

もう少し、症状について具体的にお話をお伺いしたいですが、口の中の苦い感じとのことですので、味覚障害が疑われます。味覚障害の症状の具体例は以下のようなものがあげられます。

①  濃い味だとわかるが薄い味がわからない

②  味が全く感じられない

③  何も口に入っていないのに苦みや渋みなどの変な味がする

④  特定の味のみわからない(甘みは分かるが塩味はわからないなど)

味覚障害の原因としては、様々ですが、例えば、偏った食生活による亜鉛不足、加齢による味覚の減退、臭覚の低下を伴う味覚の低下、舌炎や舌の表面の異常(舌に分厚い舌苔がついている、舌カンジタに感染している)、薬の副作用によるもの、口腔乾燥症によるもの、貧血、糖尿病、脳梗塞などによってもの等様々な原因が考えられます。
 まず、相談する先とすれば、口腔内ですので耳鼻咽喉科がいいと思います。また、口腔外科でも相談できます。
何が原因となり味覚障害が起こっているのかを診断してもらい、それにあわせた治療をしてもらうとよいと思います。
 味覚障害の多くに亜鉛不足が影響しています。体の中の亜鉛の量は血液検査で測定することが出来ます。一度、医療機関で、味覚障害を感じはじめた時期とどのような症状なのかを医師に相談してみてください。
 治療薬としては、原因となっている疾患の治療が主となってきます。
例えば、舌カンジタ感染によるものなら、抗真菌薬を用いて治療しますし、鼻づまりによる臭覚の低下でしたら、鼻づまりの治療が必要になります。亜鉛不足によるものなら、亜鉛含有の胃薬を服用するようになります。
 我慢せずに一度医療機関に行き、医師に相談してみましょう。

 

Q最近眠れません。病院に行こうかと思いますがどのように相談したらいいですか?睡眠薬についても教えて下さい。

眠れないとのことで、精神的、身体的にしんどい状況と察します。まず、不眠症ですが眠れなくなった原因など何か心当たりがありますか?また、どういった不眠症状であり、眠れない期間はどれくらいですか?

 その2点をお医者さんに伝えることで、お医者さんは薬物治療を行うべきか、あるいは薬物を用いない治療を行うべきか考えられます。また、併用薬があれば必ず伝えるようにして下さい。

  不眠の原因は様々です。例えば、心配ごとやストレスなどの心理的な要因、痛み、かゆみ、咳などの身体的苦痛、寝具環境の変化、テレビ、携帯電話などの光や音なども不眠の原因となります。

 不眠のきっかけとなった可能性のある事項をお医者さんに具体的にお伝え下さい。そして、不眠の性状と不眠の期間についても、治療と関係がありますので、お伝え下さい。

 睡眠薬についてですが、不眠の性状により薬を選択します。例えば、寝つきが悪い場合は短時間のみ作用をする睡眠薬を選択します。入眠後、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めてしまう場合は、作用時間の長い睡眠薬を選択します。

 睡眠薬だけでなく、不安感などからくる不眠の場合は抗不安薬を睡眠薬として用いる場合があります。かゆみが原因で不眠になってしまった場合は催眠作用のあるかゆみ止めを用いる場合があります。睡眠リズムが崩れたことで生じた不眠には、睡眠リズムを整えるための薬を処方されます。

 このように睡眠薬は睡眠の性状により選択されるので、症状をしっかりとお医者さんに伝えるようにしましょう。

作成年月日:2015.12.16

【倉敷店 医薬品情報管理室】

Qアルツハイマー型認知症と診断を受けたのですが、どんな治療法があるのですか?

まず、アルツハイマー型認知症について簡単に説明を行います。

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも一番多い認知症です。アルツハイマー型では最近の出来事を忘れてしまうという症状が見られますが、これは記憶を司っている、海馬と呼ばれる部分に病変が起こる為に、記憶が出来なくなるものです。

誰でも忘れる事はありますが、忘れている事を指摘されると「そうだ、忘れていた」と思い出せます。でもアルツハイマー型の方では、思い出す事が出来ません。

その他の症状としては、判断能力の低下、日付が分からなくなったり、自分のいる場所が分からなくなるなどの、失認、失行など見当識障害が起こることもあります。

更に病状が進行すると、大事な物が無くなった、盗られたと家族を責めたりする「物盗られ妄想」が出たり、外へ出てウロウロする「徘徊」、お風呂に入らないなどの「介護拒否」などがよく見られるようになります。また家族の顔でさえわからなくなったり、怒りっぽくなったりすることもある病気です。

質問のご回答ですが、現在日本では4種類の治療薬が発売されています。

現時点では、アルツハイマー型認知症を治す治療薬はありませんが、進行をゆっくりにさせる薬を用いる治療を行います。

なので、早期発見、早期治療を始めた方が症状の進行が緩やかになります。

【治療薬】

①アリセプト(塩酸ドネペジル)

記憶の働きに関わるアセチルコリンという神経伝達物質が、脳内において減少する(不活性となる)事がアルツハイマー病の発症に関連が深いと言われています。このアセチルコリンを分解する酵素アセチルコリンエステラーゼという物質を阻害し、アセチルコリンの量を保つ薬です。

用量については、1日1回3mgから開始し、1~2週間を経て5mgへ増量します。高度のアルツハイマー型認知症の患者に対しては5mgで4週間実施した後、10mgへ増量するのが一般的です。薬の効果が現れるまでには個人差はありますが概ね12週間(約3か月)程度を要します。

薬の形状も多種あり、現在では「細粒・口腔内崩壊(OD)錠・ゼリータイプ・ドライシロップタイプ」があります。

(特徴・詳細)
(1)細粒:粉状の薬。飲みこむ力が弱い等の理由で錠剤が飲みにくい方向けの剤形です。
(2)口腔内崩壊(OD)錠:唾液または少量の水で溶けるよう設計された薬。飲みこむ力が弱い等の理由で錠剤が飲みにくい方向けの剤形です。
(3)ゼリータイプ:白色~微黄色の内服ゼリー剤。水を飲む際などにむせ込む事の多い方に適しています。
(4)ドライシロップタイプ:細粒もしくは顆粒の剤形。直接飲む事も水に溶かして飲む事も可能です。また、少量の水に溶いてペースト状にして上あご等口の中に塗りつけた後に水を飲んで服用する事も出来ます。但し、水に溶かした後は薬の効果が低下しやすくなる為、速やかに服用するようにして下さい。

患者様の状態にあわせた剤型を選択してもらいましょう。

②レミニール(塩酸ガランタミン)

レミニールは次の2つの作用で脳内のアセチルコリンによる神経伝達を助けます。

作用(1)
アリセプト同様に、アセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内のアセチルコリンの濃度を高め神経伝達を助けます。

作用(2)
アセチルコリン受容体に作用し、受容体の立体構造を変化させアセチルコリンに対する感受性を高めアセチルコリンの働きを助け情報の伝達を活性化します。

用量については、1日8mg(1回4mgを1日2回)から開始し、副作用の有無を観察した上で、4週間後に1日16mg(1回8mgを1日2回)に増量し継続します。その後は症状に応じ1日24mg(1回12mgを1日2回)まで増量することが可能です。

剤型は錠剤、口腔内崩壊錠(OD錠)、内用液の3種類があります。

③イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ(塩酸リバスチグミン)

アリセプト同様に、アセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内のアセチルコリンの濃度を高め神経伝達を助けます。他にもアセチルコリンの分解に関わるブチリルコリンエステラーゼの作用も阻害し、脳内のアセチルコリンの濃度を高めていきます。

他の薬剤と大きく異なる点として、これは貼付剤になります。用量については、1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付します。貼付箇所としましては、背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替えます。

④メマリー(塩酸メマンチン)

グルタミン酸は脳内において記憶や学習に関わる神経伝達物質という役割がありますが、認知症患者の脳内では異常なタンパク質によってグルタミン酸が過剰な状態となってきます。メマリーには、過剰なグルタミン酸の放出を抑え、結果的に脳神経細胞の壊死を防ぐ働きがあります。

上記①~③とは作用が異なるため、①~③のいずれかの薬剤と併用することが可能です。

用量については、1日1回5mgから開始し、1週間毎に増量し4週間後に目標とする維持量(最大で1日20mg)とします。ただし、患者様の状態に応じて投与量は異なります。

剤型は錠剤、口腔内崩壊錠(OD錠)があります。

以上が、アルツハイマー型認知症に用いることができる4種類の薬剤になります。それぞれ、剤型、使用回数など異なりますので、その患者様の状態にあわせた薬を選択してもらいましょう。

作成年月日:2015.7.16

【倉敷店 医薬品情報管理室】

 

(さらに…)

Q糖尿病を治療中ですが、低血糖とその対処法について教えて下さい。

まず低血糖についての説明を行います。

正常では、血糖値は70mg/dL以上に維持されています。糖尿病の薬やインスリンの過剰により血糖値が下がりすぎると、下記の図のような様々な症状が出てきます。これを低血糖症状といいます。血糖値が70mg/dL以下になると、異常な空腹感が現れ、動悸・ふるえなどの症状が出てきます。そして、低血糖を放っておき血糖値が50mg/dL以下になると中枢神経の働きが低下、血糖値が30mg/dL以下になると意識レベルが低下し、昏睡状態に至ることもあり、その結果重大な事故につながることもあります。なので、低血糖の初期症状をきちんと把握しておき、その時に正しく対処する必要があります。

低血糖の症状 発汗 動悸 顔面蒼白 手指のふるえ 頭痛 空腹感 目のかすみ 眠気 傾眠 けいれん・昏睡

※図:大日本住友製薬HPより引用

次に低血糖の対処法について説明を行います。

低血糖の対処法としては、10gのブドウ糖(40kcal)の服用をして下さい。糖尿病治療中でしたら、病院あるいは薬局で無料のブドウ糖をもらうことができます。低血糖時に摂取するブドウ糖の量をきちんと説明を受けておきましょう。

また、有料にはなりますが、摂取しやすいブドウ糖商品もあります。

●グルコースサプライ(大塚製薬)

糖尿病等による低血糖の携帯用ブドウ糖タブレット、大塚製薬グルコースサプライ(特徴)手軽にブドウ糖が補給できるラムネ味のタブレットタイプです。1個で20kcalなので低血糖時には2個摂取するとよいです。

●グルコースレスキュー(アークレイ)

(特徴)甘酸っぱいヨーグルト味。ゼリー状でこぼれにくく誤嚥しにくいように配慮してあります。1包で10gのブドウ糖を摂取できます。

作成年月日:2015.4.8

【倉敷店 医薬品情報管理室】