Q:糖尿病の運動療法、どうして必要なんですか?またどんな運動をしたらいいですか?

日本人の糖尿病の多くを占める2型糖尿病は、遺伝的要因に加え、食べ過ぎや運動不足などの悪い生活習慣の積み重ねが原因となって起こります。現在は運動不足に陥りやすい生活環境となっているので、意識して体を動かすことが大切なのです。

しかし運動療法は正しく行わないと十分な効果が得られないだけでなく、糖尿病の症状や合併症を悪化させる場合があります。網膜症がある人、腎機能が低下している人、心臓病のある人、血糖コントロールが極端に悪い人など、状態によっては運動をしてはいけない場合や制限される場合があります。そのため運動療法を開始するにあたっては、事前に主治医に相談し、運動をしてもよいかどうかの指導を受けることが大切です。

糖尿病の運動としては有酸素運動とレジスタンス運動があり、有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせることによって、より良い治療効果が生まれることが明らかとなりました。

有酸素運動

継続して行うことでインスリンの効きがよくなります。ウォーキング(速歩)・ジョギング・水泳・自転車など,できるだけ大きな筋を使用する運動をさします。

少しい息が上がる程度の運動をできれば毎日、少なくとも週に3~5回、各20~60分間行い、1週間の合計150分以上の実施が勧められています。運動習慣のない人の場合には、日常生活の中で通勤時や買い物時に歩行を取り入れることなどから開始し、段階的に運動量、運動強度を増やしていきましょう。

レジスタンス運動

筋肉量を増やし、筋力を増強する効果があります。腹筋、ダンベル、腕立て伏せ、スクワットなどのおもりや抵抗負荷に対して動作を行う運動を言います。週に2~3回、8~10種目のレジスタンス運動を1種目につき、10~15回を1セットとして1~3セット繰り返すことが勧められています。レジスタンス運動の種目・セット数などを徐々に増やして実施することが推奨されています。

水中歩行は有酸素運動とレジスタンス運動がミックスされた運動で、膝にかかる負担がすくないのでお勧めです。個人の好みにあった運動を取り入れるなど段階的に行い、安全で、運動の楽しさを実感できるように工夫していくことが継続のポイントです。

糖尿病の基本は食事療法と運動療法ですので、食事療法もお忘れなく・・・・

作成年月日:2020年8月5日