Q.ハチ刺されにアンモニア水は本当に効果がありますか?

ハチ,カ,ブユなど,虫に刺されたり,咬まれたときには,アンモニア水を塗るとか,アンモニア水がないときは,「オシッコ」をかければよいと言われていました。

昔からいわれているアンモニア水や尿は効果がなく,逆に,薄いアンモニア水でも皮膚に塗るとかぶれやすく,またオシッコは雑菌を含むので,患部にオシッコをかけたりすると細菌感染する恐れがあります。アンモニア水は使用しないようにしましょう

ハチに刺された軽い痛みや発赤は,きれいな冷水で冷やすと数時間以内で治まります。そして,毒針が残っている場合や心配な状態であれば医療機関を受診しましょう。

ハチに刺されないようにするために,屋外作業や野外レジャーなどの際にはハチの巣には注意をして,むやみに巣にちかづいたり,いたずらをしないように心がけましょう。
秋の季節にはハチの攻撃性が高まるのでとくに注意が必要です。

アンモニア水はハチの毒を中和したり,毒性タンパクを変性させるので蜂刺傷に効果があると言われていました。
昆虫の毒針により刺されると皮膚の下に毒が入ってしまいます。

しかし, アンモニアは皮膚に吸収されないので,毒があるところに到達できません。したがって,毒成分が皮膚内に入った後に皮膚表面に塗布しても効果はありません。

蜂には,いろいろ種類がありますが,問題となる蜂はスズメバチ,アシナガバチ,ミツバチです。ハチの毒成分も蜂の種類によっても異なりますが,ヒスタミン,セロトニンなどのアミン類や酵素,低分子ペプチド,神経毒性タンパクなどがあり,これらにより軽度の疼痛,局所の腫脹・発赤,瘙痒が起こります。

初めてさされた場合は,これらの症状は通常1~2時間で治まります。引っかいて傷にしなければ化膿する心配もほとんどありません。

2回目以降は,刺された直後から激痛を起こし,赤い腫れが徐々に大きくなり1週間ほど症状が続きます。
また,大群のハチに一度に刺されないかぎり致命的になることはないと言われていますが,体質によっては刺された直後から, ショック症状が現れ,悪心・嘔吐,呼吸困難,血圧低下,頻脈,意識消失を起こし死に至ることもあります。

処置方法ですが,まず蜂に刺されたあと,針が残っていないか確認し, 毒針が残ると化膿・蜂窩織炎を起こすことがあるので残っていれば毒袋をつぶさないように速やかに針を除去します。

毒液は蛋白質でできており,水に溶けやすいため,蜂に刺されたら,まず,傷口を大量の流水でよく洗い流し,傷口から毒を絞り出します。
局所の発赤やかゆみに対しては,抗ヒスタミン軟膏(かゆみや腫れを抑える薬)やステロイド軟膏(炎症をおさえる薬)を患部にぬり,氷のうなどによる冷湿布を行います。症状によって,抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服,注射などが行なわれます。

ショック状態になると,輸液や酸素吸入をしながらアドレナリンを注射します。また,多数のハチの大群に刺されたり,目を刺された場合(早期の副腎ホルモン眼注が著効を示す。虹彩炎が強ければアトロピン点眼液を点眼),何回か蜂に刺されたことがある人や刺された時にじん麻疹や局所症状がひどかった人は応急処置後すぐ医師の治療を受けて下さい。

『蜂毒,食物および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)』を適応として,アナフィラキシーショックによる死亡を回避するためエピペン注射液0.3mg・エピペン注射液0.15mg(アドレナリン製剤)が2011年9月に薬価収載(エピペン注射液0.3mgは10,570円,エピペン注射液0.15mgは7,666円)されました。
実際の患者負担額は人により異なりますが,通常,薬価の3割負担となります。

自己注射できるので医師の処方せんにより事前に入手して携帯し,刺傷時に備えましょう。

 

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