Q.医療用麻薬の副作用には、どのようなものがありますか?

a-1主な副作用は悪心、嘔吐、便秘、眠気や呼吸の抑制などがあります。しかし、これらの副作用に適切に対応することで、多くの場合で治療の継続が可能です。

作成年月日:2016.6.8

【日本原店 医薬品情報管理室】

医療用麻薬の副作用

  • 悪心、嘔吐

医療用麻薬の飲み始めや増量した際によくみられる副作用です。多くの場合、数日のうちに耐性を生じ症状が治まります。しかし、悪心、嘔吐の副作用は患者さんにとって最も不快な症状の一つであり、実際の治療では吐き気止めの併用など積極的に対策を行っています。

  • 便秘

便秘は医療用麻薬で高頻度に起こる副作用です。しかも、耐性がほとんど形成されないため、下剤を継続的に服用するなどの対策が必要になります。
下剤の服用についても、患者さんの便の形状、排便の回数、食事の状態などをきめ細かくチェックしながら、個人に合った下剤を選ぶ必要があります。
使用される下剤には、便をやわらかくする浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース)、腸の蠕動運動を促進させる大腸刺激性下剤(ピコスルファート、センノシド)があります。
症状改善には、水分摂取、運動、食物繊維の摂取も有用です(いずれも、可能な場合に限ります)。また、腹部マッサージや温療法なども効果的です。
モルヒネやオキシコドンを使用している場合は、フェンタニルに変更することで便秘が軽減することがあります。

  • 眠気

医療用麻薬による眠気は飲み始めや増量した際に出現することが多いのですが、数日以内に自然に軽減ないし消失することがほとんどです。
痛みがなく強度の眠気がある場合は、医療用麻薬の過量投与の可能性があり減量します。眠気のために医療用麻薬の増量が困難な場合は、他の医療用麻薬へ変更することを検討します。

  • 呼吸の抑制

一般的には医療用麻薬を適切に投与する限り、呼吸の抑制はほとんど起こりません。ただし、急速に静脈注射を行った場合や、疼痛治療に必要な量を大きく上回る過量投与を行った場合には、呼吸の抑制は起こりうる副作用です。したがって、過量投与とならないように、効果と副作用を確認しながら増量を行う必要があります。
呼吸の抑制が生じる前には眠気を生じます。そのため、眠気を観察し、眠気が生じた段階で鎮痛手段の見直しと評価を行うことが重要です。