Q.喘息の治療方法は?

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喘息治療の目標は「健常人と変わらない日常生活が送れること.正常な発育が保たれること」「夜間や早朝の咳や呼吸困難がなく,十分な夜間睡眠が可能なこと」「喘息発作が起こらないこと」「喘息死の回避」などとともに「ぜんそく薬の副作用がないこと」も喘息予防・管理ガイドラインに挙げられています.

喘息の治療では喘息の予防と発作の治療とを区別して行います.また喘息の重症度に応じてどの薬をどのくらい使用するかを段階的に決定して治療をおこないます.

発作を予防する薬(コントローラー)は,気道の炎症を治療する薬剤であるため,症状が治まっても継続することが重要です.目立った症状が出ていなくても気道の炎症は完治していない場合があるからです.コントローラーに対し,発作が起こった時に使う薬(レリーバー)は狭くなった気道を拡張して発作を鎮める薬剤です.レリーバーは使用するタイミングが重要で,少し調子が悪いと感じたときに使用することで症状がひどくなるのを防げます.しかし,レリーバーを必要以上に使用すると,効果が悪くなったり,副作用が出やすくなりますので,レリーバーの使用回数が増えた場合は医師に相談しましょう.

喘息

作成年月日:2016.1.28

【日本原店 医薬品情報管理室】

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喘息予防・管理ガイドライン2015(日本アレルギー学会)に記載されている喘息治療の目標は以下の通りです.

喘息の治療の目標
1.健常人と変わらない日常生活が送れること.正常な発育が保たれること.
2.正常に近い肺機能を維持すること.
PEF*の変動が予測値の20%未満.
PEFが予測値の80%以上.
3.夜間や早朝の咳や呼吸困難がなく十分な夜間睡眠が可能なこと.
4.喘息発作が起こらないこと.
5.喘息死の回避.
6.治療薬による副作用がないこと.
7.非可逆的な気道リモデリングへの進展を防ぐこと.
*PEF(peak expiratory flow, ピークフロー)とは最大呼気流速,すなわち息を吐くときの最大の空気の量のことで,簡単な器具(ピークフローメーター)を使用して測定できます.得られたピークフロー値を自己最良値と比較することで,気管支の狭窄の状態を知ることができます.

喘息治療薬には,継続的に使用し発作を予防する長期管理薬(コントローラー)と喘息発作治療するため短期的に使用する発作治療薬(レリーバー)があります.
長期管理の基本は,ステロイド薬(吸入,内服),長時間作用型β2刺激薬(吸入,内服,貼付),ロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン徐放製剤,抗IgE抗体などがあります.主な発作治療薬には,ステロイド薬(内服,注射),短時間作用型β2刺激薬(吸入),アミノフィリン(内服,注射),抗コリン薬(吸入)などがあります.

吸入ステロイド薬
気道に起こった炎症を抑える薬であり,喘息治療に欠かせないものです.即効性がないため医師の指示通り継続する必要があります.ステロイドといっても,注射や内服薬とは異なり炎症の起こった部位に直接届き効果を発揮するため,全身性の副作用は非常に少ないという特徴があります.ただし,口腔・咽頭カンジダ症,咽頭刺激による咳漱,声が枯れるといった副作用が起こることがあります.これらの副作用を予防するため,使用前の排炭と飲水,使用後の口すすぎとうがいが必要です.

長時間作用性β2刺激薬
気管支を拡げる薬です.β2刺激薬のうち効果が長く続くタイプのものがコントローラーとして使用され,吸入ステロイドともに継続します.β2刺激薬は吸入薬,内服薬,貼付薬などがあります.このうち吸入薬にはステロイドが一緒に配合されたものがあり,複数の吸入器を使用する手間が省ける利点があります.β2刺激薬の副作用として動悸がする,手が震えるといった症状が現れることがあります.このような症状が出たら医師又は薬剤師に相談しましょう.