Q.血圧降下薬などのカルシウム拮抗薬はカルシウムの吸収に影響しますか?

カルシウム拮抗薬は,カルシウム・チャンネル・ブロッカーともいいます。カルシウム拮抗薬と聞くと,カルシウムの吸収を阻害する,とか,カルシウムの作用を遮断するというように思われますが,体内におけるカルシウムの働きには,ほとんど影響しません。カルシウム拮抗薬とカルシウムを一緒にのんでもかまいません。

生体は細胞外Ca2+濃度を一定に保っております。カルシウム剤を服用しても細胞外Ca2+濃度が増えて細胞内へCa2+の流入が増加することはなく,カルシウム拮抗薬の作用には影響しません。カルシウム拮抗薬は,細胞膜にあるカルシウムイオンを通す扉を閉めてカルシウムが細胞の外から中へ移動するのを抑えるだけで,体全体のカルシウムの量を減らしたり増やしたりするわけではありません。また,カルシウム拮抗薬は,組織特異性があり,血管平滑筋や心筋などの心血管系に対し特異的に作用し,カルシウム拮抗薬とCa2+が吸収される消化管へは作用せず,カルシウム剤の吸収には影響しません。したがって,カルシウム拮抗薬によってカルシウムの吸収量が影響されることはありません。

作成年月日:2011.2.15
【医薬品情報管理室, 学術チーム】