Q:経口補水液とスポーツドリンクの違いを教えてください。熱中症の時はどちらがいいですか?
経口補水液は、脱水状態の時に不足している電解質(ナトリウムやカリウム)を補うことを目的とした物で、一般的なスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、また水や電解質の吸収を速めるために、スポーツドリンクと比べて糖濃度が低くなっています。一方、スポーツドリンクは、経口補水液と比べて塩分少な目、糖分多めとなっています。スポーツをして汗をかくと、水分とミネラルが失われるのでそれらを補給するための飲料です。従ってスポーツ時の水分補給や日常生活の発汗には良いですが、急を要する脱水時(熱中症など)の補水には不十分です。またスポーツドリンクには糖分が多く含まれているので飲みすぎるとペットボトル症候群(急性糖尿病)になるリスクがありますので注意が必要です。
【経口補水液、スポーツドリンク、汗の成分の比較】
ナトリウム
(mEq/L) |
カリウム
(mEq/L) |
糖分
(g/L) |
浸透圧
(mOsm/L) |
|
スポーツドリンク(ポカリスエット) | 21 | 5 | 67 | 326 |
経口補水液(OS-1) | 50 | 20 | 25 | 270 |
WHO経口補水液 | 75 | 20 | 13.5 | 245 |
汗 | 10~70 | 3~15 |
ナトリウムは小腸で吸収されますが、ブドウ糖が一緒にあると、すばやく吸収されることがわかっています。しかし、ナトリウムに対してブドウ糖が少なすぎても多すぎても吸収は速くなりません。ナトリウムとブドウ糖濃度のバランスが大切で、水はナトリウムとブドウ糖の吸収に引っ張られて一緒に体に取り込まれます。
手作り経口補水液のレシピが公開されていますが、家庭で作るとカリウムの補充ができません。その上家庭で作ると雑菌の混入をどうしても防ぎきれませんので、その日のうちに飲みきる必要があります。そのため手作り経口補水液はあくまで手元に市販の経口補水液がない場合の緊急対処法と考え、可能なら市販の経口補水液を購入してください。
作成年月日:2020年7月2日