受動喫煙について教えてください。

タバコの煙は、喫煙者の肺に入っていく「主流煙」、 その後、口・鼻から吐き出される「呼出(こしゅつ)煙」、タバコに火をつけた際に、タバコの先端から出る「副流煙」の3つに分けられます。主流煙ばかりに気を取られがちですが、副流煙にも各種有害物質が含まれており、しかもニコチン、タール、一酸化炭素などの成分量は主流煙よりも副流煙のほうが多いといわれています。この副流煙を、自分の意思とは関係なく吸い込んでしまうことを「受動喫煙」といいます。受動喫煙にさらされると、がんや脳卒中、虚血性心疾患、呼吸器疾患などのさまざまな病気のリスクが高くなり、さらには妊婦や赤ちゃんにも悪影響を及ぼすことがわかっています。

2018年に受動喫煙をなくすために改正法が成立し、2019年7月1日から学校、児童福祉施設、病院、行政機関などが「敷地内禁煙」に、そして2020年4月から飲食店やオフィス、事業所、交通機関など、上記以外の様々な施設が「原則屋内禁煙」になりました。

主流煙は、喫煙者の吸入により先端から空気(酸素)がとりこまれるため、燃焼温度が高くなった状態(約900℃)で吸われています。そのため、「完全燃焼」に近い状態になり多くの成分が消滅または低減していますが、副流煙は、吸入していないので酸素が少なく、低温(約300℃~400℃)で「不完全燃焼」になっているため、有害成分が多く燃え残って飛散するので害が多いのです。またたばこ由来の化学物質は、喫煙者の毛髪や衣類、カーテンやソファなどに付着し、長く残留することが知られており、それが揮発することで第三者に残留受動喫煙(三次喫煙)が発生すると考えられています。まだ十分な研究はなされておらず、健康影響についてもまだ明らかになっていませんが、部屋で過ごす時間が長い乳幼児などでは三次喫煙による影響が懸念されます。