Q:アルコール依存症について教えてください。また薬で治りますか?

アルコールは依存性とは、長期間にわたってアルコールを大量に飲み続けることによってアルコールを飲まないといられなくなる状態に陥る病気です。大量に飲み続けると脳の仕組みが変化し、猛烈にアルコールを欲するようになります。そのため気持ちの高ぶりやイライラ感が生じ、動悸や発汗、手の震え、不眠などの身体症状が現れるようになると言われています。中にはアルコールによる肝障害などを発症するばかりでなく、朝から飲酒をする、仕事中に隠れて飲酒をするなど社会生活に支障をきたすケースも珍しくありません。

アルコール依存症に対する薬物療法としては以下の3種類の薬があります。

  1. 飲酒量の低減薬:ナルメフェン(商品名セリンクロ錠)                        

    飲酒の1~2時間前に服用することで、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑え、アルコール依存症患者さんの飲酒量を低減します。

  2. 抗酒薬:シアナミド(商品名シアナマイド)、ジスルフィラム(商品名ノックビン)           

    アルコールを代謝する酵素の働きを抑えるので、アルコールが分解されずにいつまでも体内に残り、不快な酔い方をさせ、禁酒の動機づけとします。抗酒薬を服用していれば、飲酒をしたくなるような出来事があった場合にも「飲んでも気持ち悪くなる」という状態にし、心理的に飲酒を断念しやすくします。

  3. 飲酒欲求を減少させる薬:アカンプロサート(商品名レグテクト)                   

    アルコール依存症の場合は、飲酒によってグルタミン酸作動性神経活動が活発になり、興奮状態をもたらすグルタミン酸が減少してくると、強い飲酒欲求を感じます。 このお薬は、グルタミン酸作動性神経の働きを抑制する作用があるので脳が興奮を覚えなくなり、飲酒に対する欲求も抑えられます。ただし、単に飲酒量を少なくする薬剤ではないので、服用にあたっては断酒していることが前提とされます。

作成年月日:2020年7月22日