Q.もしもホウ酸ダンゴを飲み込んでしまったら?

問合せ

ゴキブリ用殺虫剤として一般に市販されているホウ酸ダンゴは,ホウ酸の含有量が約20%前後ですが,誤って飲み込んだ場合,中毒の危険性があります

ホウ酸による中毒症状は,吐気,腹痛,下痢,発疹が起こり,ひどい場合には,血圧低下,けいれんや腎臓の障害を起こすこともあります。
少しなめた程度の場合は水か牛乳を飲ませて様子をみますが,大量に食べた場合には牛乳をのませ,できれば吐かせて医療機関を受診してくだい。

中毒事故が発生したとき

財団法人日本中毒センターでは,化学物質(タバコ,家庭用品など),医薬品,動物性の毒などによっておこる急性中毒について,実際に事故が発生している場合に限定して情報提供されています。

【中毒110番】一般市民向け専用電話:情報提供料無料

  • 大阪中毒110番(365日 24時間対応)
    072-727-2499
  • つくば中毒110番(365日 9時~21時対応)
    029-852-9999
  • タバコ専用電話(365日 24時間対応,テープによる情報提供:一般市民)
    072-726-9922

ほう酸はうがいや目・皮膚の洗浄や消毒に用いられ,以前は危険という認識はなく, かまぼこや竹輪類にも防腐剤として使用されていましたが,中毒や死亡例が報告され現在では食品への添加は禁止されています。医薬品としてのほう酸は昭和60年の医薬品再評価によって有用性が認められず,現在では目の洗浄消毒に限って2%の濃度で使われるだけとなりました。

ホウ酸は,アリやゴキブリの駆除を目的として,ほう酸だんごとして使われています。ホウ酸の濃度10~20%が殺虫効果は強いといわれています。
ほう酸の経口中毒量は成人で1~3g,経口致死量は15~20g,幼児5~6g, 乳児2~3gといわれ,健康な皮膚からは吸収されないが,炎症を起こしている粘膜や皮膚や胃腸からは容易に吸収されます。

急性中毒の症状は,多くは消化器系で,嘔吐,下痢,腹痛が現れ,発しんや脱力感,時にはけいれんが起こることもあります。大量摂取時には,吸収されたほう酸は腎臓を通過して尿中に排泄され,このとき腎臓の細胞を壊死させ腎不全を起こすことがあります。

 

誤飲したもの 催  吐 水 摂 取 牛乳摂取 応 急 処 置
ホウ酸ダンゴ
(ホウ酸)
水または牛乳を飲ませて,吐かせ医療機関へ

衣類防虫剤
(樟脳)

× ×

水を飲ませて医療機関へ
消化管からの吸収が速く,誤飲後5~90分で中毒症状発現。催吐は痙攣を誘発するおそれあり。
牛乳,脂肪食,アルコールは吸収を促進するため禁忌。

衣類防虫剤
(ナフタリン)

× 牛乳摂取は吸収を促進するため禁忌。
洗浄剤・漂白剤
(強酸・強アルカリ)
×

水または牛乳を飲ませて,医療機関へ
酸よりもアルカリ配合のほうが強い障害を起こす。

灯油・ベンジン
(石油製品)
× × ×

何も飲ませず,吐かせず医療機関へ
吐物が誤って気道に入ると毒性が増大し重篤な全身症状が発現。

タバコ
(葉・吸い殻)
× ×

吐かせて直ちに医療機関へ
水や牛乳の摂取は,タバコを胃から腸へとおいやりニコチンの吸収を高める。制酸薬の投与も禁。

 

【中毒110番】医療機関向け専用電話

  • 大阪中毒110番(365日 24時間対応)
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  • つくば中毒110番(365日 9時~21時対応)
    029-851-9999(医療機関専用有料電話: 1件につき2,000円)

作成年月日:2011.5.2
【医薬品情報管理室, 学術チーム】